日本の労働法学者は、労働基準法を「労働の憲法」と呼びます。1947年、占領下で制定されましたが、起草の大部分は日本の官僚によるもので、人たるに値する生活を営むための労働条件を約束した新憲法を基盤としています。労働組合法、労働関係調整法とあわせて労働三法を構成します。前身である1911年の工場法が主に工場で働く女性と年少者を保護するものだったのに対し、1947年の法律はほぼすべての労働者を対象としました。
この法律が定めるのは標準ではなく最低基準です。その基準に達しない契約条項は無効となり、法律の基準に置き換えられます。中心となるルールは、採用時の労働条件の書面明示、賃金支払の原則、30日前の解雇予告または予告手当、週40時間制、36協定と割増賃金、年次有給休暇、母性保護、就業規則です。数十年にわたり何度も改正されており、最も重要なのは2018年の働き方改革関連法です。これにより初めて時間外労働に法的な上限が設けられ、使用者には社員に年5日以上の有給休暇を確実に取得させることが義務づけられました。
この法律を際立たせているのは執行の仕組みです。労働基準監督官は事業場に立ち入り、記録の提出を求め、是正勧告を行うことができ、司法警察員として捜査し、事件を検察に送致する権限も持っています。違反の多くは罰金の対象で、一部は拘禁刑の対象となります。
この法律が扱うのは最低条件です。解雇や配転が有効かどうかを決めるルールは、主に労働契約法にあります。
外資系企業にとってのポイント
- 社員1人目から適用される。 時間外労働、休暇、解雇予告のルールに小規模企業の適用除外はありません。ただし、就業規則の届出など一部の義務は常時10人以上から生じます。
- 違反は刑事事件となり、公になる。 送検された事件は企業名とともに扱われ、厚生労働省は送検された企業の一覧を公表しています。外資系の日本法人が摘発されれば、報道を通じて本社に伝わることもあります。
- 工場の現場を前提に作られた法律。 決まった場所で決まった時間に働くことを想定しています。上級社員の柔軟な働き方は、フレックスタイム制や裁量労働制など、それぞれ要件のある例外の枠内に収める必要があります。
- 日本人候補者はこの法律を知っている。 上級職の採用者も、法定の休暇、解雇予告、時間外労働の保護は、交渉材料ではなく当然の前提と考えています。
出典
- 労働基準法(昭和22年法律第49号)第1条、第13条、第15条、第20条、第24条、第32条、第36条、第37条、第39条、第89条、第102条、第117条から第121条
- 日本国憲法第27条
- 国立公文書館、労働基準法の制定に関する記録(1947年4月)