名称に反して、これは男女間の賃金に関するルールではありません。対象は、無期・フルタイムの正社員と、パートタイム労働者、有期契約社員、派遣労働者といった非正規雇用労働者との格差です。働き方改革によって改正されたパートタイム・有期雇用労働法の下では、使用者は、職務の内容、責任の程度、職務内容・配置の変更の範囲その他の事情に照らして不合理な、基本給、賞与、手当、福利厚生の差を設けてはなりません。これらの要素が同じであれば、待遇も同じでなければなりません。派遣労働者については、労働者派遣法に同様の規定があります。
判断は総報酬ではなく、賃金の要素ごとに個別に行われます。裁判所は、各手当や福利厚生が何のために支給されているのか、その目的が非正規雇用労働者にも当てはまるのかを問います。2020年10月、最高裁判所は1週間のうちに5件の判決を言い渡しました。日本郵便事件では、有期雇用労働者に扶養手当、年末年始勤務手当、有給の病気休暇を認めないことが不合理とされました。大阪医科薬科大学事件とメトロコマース事件では、職務と責任が異なっていたことから、その事実関係の下で賞与と退職金を支給しないことは不合理ではないとされました。
使用者は、非正規雇用労働者から求められた場合、待遇差の理由を説明しなければなりません。
外資系企業にとってのポイント
- まず手当を点検する。 通勤手当、食事手当、家族手当などは、非正規雇用労働者が最も勝訴しやすい項目です。職務と無関係な理由で正社員に支給しているのであれば、非正規雇用労働者にも支給するか、差の理由を説明できるようにしてください。
- 職務の違いを文書化する。 最も強い防御は、職務、責任、異動の範囲における実際の違いを、職務記述書に書き残しておくことです。
- 契約社員は安価な正社員ではない。 恒常的な業務に就く人に有期契約を使うと、賃金と無期転換の両方のリスクを生みます。
- 説明の準備をする。 理由の説明を求められて拒んだり、曖昧に答えたりすること自体が違反になります。
出典
- 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律 第8条、第9条、第14条
- 労働者派遣法(2020年4月施行の改正後のもの)
- 最高裁判所、大阪医科薬科大学事件およびメトロコマース事件、2020年10月13日。日本郵便事件、2020年10月15日
- 厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」