労働基準法第32条は二つの上限を定めています。休憩時間を除き週40時間、そして1日8時間です。両方が同時に適用されるため、週36時間の勤務でも、1日9時間働けば1時間の時間外労働となります。いずれかの上限を超える労働は36協定がある場合に限り適法で、25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
法定労働時間は上限であり、契約上の時間ではありません。各企業は就業規則で独自の所定労働時間を定めており、多くの日本企業は1日7時間30分や7時間45分としています。所定労働時間と法定労働時間の差は賃金に関係します。所定労働時間を超えても1日8時間・週40時間の範囲内の労働には通常の賃金を支払う必要がありますが、就業規則や契約に定めがない限り、法定の25%の割増は必要ありません。
古くからの特例もあります。常時10人未満の労働者を使用する商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業の事業場は、週44時間とすることができます。厚生労働省の研究会は2025年1月、この特例はおおむねその役割を終えており、労働基準法の全体的な見直しの一環として廃止に向けた検討を始めるべきだと報告しました。政府は2026年の法案提出を見送り、改正は現在も議論が続いています。
変形労働時間制、フレックスタイム制、みなし労働時間制はいずれも、この1日・1週の計算を再配分したり置き換えたりするもので、なくすものではありません。
外資系企業にとってのポイント
- グローバルの所定労働時間がすでに時間外労働かもしれない。 アジアの一部の本社で一般的な週45時間の標準労働時間は、日本では週5時間の時間外労働となり、36協定と割増賃金が必要です。
- 所定労働時間と法定労働時間の差を活用する。 所定労働時間を1日8時間未満に設定すれば、法定の割増が適用されるまでに一定の余裕が生まれますが、その時間の賃金の扱いを就業規則に定める必要があります。
- ルールが変わることを想定する。 予定されている見直しには、連続勤務日数の上限や勤務間インターバルも含まれています。勤務体系を設計し直す前に動向を注視してください。
出典
- 労働基準法第32条、第36条、第37条、第40条、労働基準法施行規則第25条の2(週44時間の特例措置)
- 厚生労働省、労働基準関係法制研究会報告書(2025年1月)