労災保険は、従業員が業務が原因で負傷・発病した場合や通勤中に負傷した場合に、医療費、休業補償、障害給付、遺族給付を支給します。パートタイムや臨時の従業員、外国人従業員を含め、労働者として賃金を支払うすべての人が、労働時間にかかわらず対象です。従業員としての身分を持たない取締役は、特別加入制度に加入しない限り対象外です。
保険料は全額を事業主が負担し、年間の賃金総額をもとに算定して、毎年雇用保険とあわせて申告します。料率は業種によって異なります。2024年4月に改定された料率表では、金融業、保険業、不動産業、通信業、出版業などの最も低い料率が1,000分の2.5、一部の鉱業の最も高い料率が1,000分の88です。料率は3年ごとに見直され、次回の改定は2027年度の予定です。一定規模以上の事業主の料率は、自社の災害発生状況によっても増減します。
労災の認定は、事業主ではなく労働基準監督署が行います。過重労働やハラスメントによる精神障害や脳・心臓疾患も含まれ、厚生労働省が公表する認定基準に照らして判断されます。認定された事案は報告され、公になることもあります。
外資系企業にとってのポイント
- オフィス中心の事業ならコストは小さい。 1,000分の2.5であれば、人件費予算の中では小さな項目です。
- 本当のリスクは過労による労災。 長時間労働による精神障害や脳卒中の労災認定は、評判上・法律上の問題であり、多くの場合、民事上の損害賠償請求も伴います。
- 海外赴任者には別途加入が必要。 日本から海外に派遣される従業員は、事業主が海外派遣者の特別加入制度に加入した場合に限り補償されます。
- 事業主の判断で回避できない。 事業主がどう考えようと、従業員は労働基準監督署に直接請求できます。
出典
- 労働者災害補償保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律。
- 厚生労働省、2024年4月からの労災保険率表。