最高裁:事業主は従業員の労災支給決定の取消しを求めて提訴できない

2024年7月4日、最高裁は、従業員への労災保険給付の支給決定によって保険料が上がる可能性があるとしても、事業主はその取消しを求めて提訴することはできないと判断しました。事業主は代わりに、自社の保険料認定を争う際に、業務起因性がないと主張することができます。

状況
判決
判決日
2024年7月4日
対象
労災保険料率が自社の給付実績に応じて増減する事業主

判決の内容

札幌の労働基準監督署は、あんしん財団の従業員の疾病を業務上のものと認め、療養補償給付と休業補償給付の支給を決定しました。財団はこの支給決定の取消しを求めて提訴しました。同財団の保険料はメリット制に基づいて決まります。メリット制は、一定規模以上の事業主について、過去3年間の自社の労災に対する給付額に応じて保険料率を増減させる仕組みであり、財団は支給決定により保険料が上がると主張しました。

東京高裁は事業主に原告適格を認めました。最高裁第一小法廷は全員一致でこれを破棄し、訴えを却下する判断に戻しました。労災保険給付の支給決定は被災労働者のためになされるもので、早期に確定させることが予定されています。また、客観的に支給要件を満たさない給付は、事業主の保険料の算定に含めることはできません。したがって、支給決定それ自体は事業主の法律上の利益に影響しないとされました。

事業主に救済手段がないわけではありません。自社の保険料認定を争う際に、本来支給されるべきでなかった給付によって保険料が引き上げられたと主張できます。

なぜ重要か

この判決は、労働者への支給決定が事業主によって蒸し返されることを防ぐと同時に、事業主には保険料への影響を争うための明確な道筋を示しました。疾病の業務起因性を事業主が争うことの多い、ストレスやハラスメントによる請求で特に重要です。

企業が取るべき対応

出典

本ページは雇用主向けの一般的な情報であり、法的助言ではありません。基準値や日付は掲載の出典に基づき確認していますが、実際の対応にあたっては弁護士または社会保険労務士にご確認ください。 英語版