日本の給与明細は通常、3つの欄で構成されます。勤怠欄には出勤日数、取得した有給休暇、時間外・深夜・休日労働の時間が示されます。支給欄には基本給、各種手当、各種の割増賃金が並びます。控除欄には健康保険料、40歳から64歳の人の介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、源泉徴収された所得税、住民税が並び、続いて社宅の家賃、従業員持株会の拠出金、組合費など会社独自の控除が記載されます。最後の行が実際に銀行口座に振り込まれる金額です。
交付義務は所得税法に由来し、日本で給与を支払う者は支払いのたびに受給者へ明細書を交付しなければなりません。同法第231条第2項により、2007年1月1日以降に交付する給与明細は、社員の事前の承諾があれば電子交付に代えることができます。その背後にある賃金支払いのルールは労働基準法が定めています。賃金は通貨で、直接、全額を、毎月1回以上、一定の期日に支払わなければならず、税金と社会保険料以外の控除には書面による労使協定が必要です。2023年4月1日からは、厚生労働大臣が指定した資金移動業者の口座への賃金支払いも可能になりました。この口座の残高上限は100万円とされ、労使協定と各社員の個別の同意が必要です。
賞与にも別途明細書が交付され、12月の年末調整分も同様で、還付が示されることがよくあります。これとは別に、事業主は毎年1月に、1年間の給与と税額をまとめた源泉徴収票を交付します。
外資系企業にとってのポイント
- 給与明細は現在の報酬を示す最良の証拠。 日本人候補者は、内定が確定する前に直近の給与明細や源泉徴収票の提出を求められることを想定しています。同意を得たうえで依頼し、個人情報として取り扱ってください。
- 手当の欄を読む。 給与明細からは、候補者の基本給に含まれていないもの、つまり役職手当、家族手当、住宅手当、時間外手当が分かります。
- 控除には協定が必要。 社宅の家賃を含め、税金と社会保険料以外のものを控除するには、書面による労使協定が必要です。
- 給与計算の委託先には日本の書式が必要。 グローバルの給与計算テンプレートでは、日本の社員や労働基準監督官が当然あるものと考える勤怠欄や時間外手当の内訳が抜けていることがよくあります。
出典
- 所得税法第231条(給与等の支払明細書、第2項による承諾を得た電子交付)
- 国税庁、源泉徴収票等および給与支払明細書の電子交付に関するQ&A
- 労働基準法第24条(賃金の支払)および同法施行規則第7条の2(賃金のデジタル払い、2023年4月1日から)
- 厚生労働省、資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について