日本の給与明細に数字が一つしかないことはまずありません。基本給の下に、さまざまな手当が並びます。管理職の役職手当、配偶者と子どもの家族手当、住宅手当、通勤手当、資格手当、交替勤務手当、物価の高い都市に住むための手当などです。伝統的な大企業では十数種類に上ることもあります。
手当は、賃金が職務の価値ではなく世帯の生活を支えるべきものとされていた年功の時代に生まれました。現在では多くの企業が手当を縮小しており、住宅手当や配偶者手当を基本給に組み入れたり、家族手当を子どもに限定したりしています。法律で義務づけられた手当はありません。しかし就業規則や契約に定められれば賃金であり、廃止は合理的な理由を要する不利益変更となります。
手当は均等待遇の面でも重要です。ハマキョウレックス事件(2018年)と日本郵便事件(2020年)で、最高裁判所は、正社員には支給され、同等の業務に従事する有期雇用の社員には支給されなかったいくつかの手当について、不合理な待遇差であると判断しました。
外資系企業にとってのポイント
- 内訳をすべて確認する。 役職手当、住宅手当、家族手当を加えると、応募者の基本給は実際の賃金をかなり下回っていることがあります。基本給ではなく固定給の総額で比較してください。
- 同様の手当を設けるかを決める。 外資系企業の多くは、単一の基本給に通勤費を加える形をとっています。そのほうが簡潔ですが、給与明細の見た目が変わる理由を応募者に説明し、総額が減らないようにしましょう。
- 割増賃金の算定基礎に注意する。 家族手当、住宅手当、通勤手当は割増賃金の算定基礎から除外できますが、役職手当やその他の多くの手当は除外できません。
- 廃止は労働条件の変更として扱う。 買収後に引き継いだ手当を削減することは、事務的な整理ではなく交渉です。
出典
- 労働基準法第37条第5項、労働基準法施行規則第21条(割増賃金の算定基礎から除外される手当)
- 労働契約法第9条・第10条(就業規則の変更)
- 最高裁判所、ハマキョウレックス事件、2018年6月1日、日本郵便事件、2020年10月15日