二つのモデルの対比を広めたのは、労働法政策研究者の濱口桂一郎氏です。メンバーシップ型雇用では、会社は職務を埋めるのではなく人を採用し、その後は会社の判断で配置と異動を繰り返します。報酬は、能力と勤続によって積み上がる本人の等級に応じて決まります。ジョブ型雇用では、会社が職務を定義し、それを担う人を採用し、職務の大きさと市場に応じて報酬を払います。世界の大半は後者の方式で動いています。日本の大企業は伝統的に前者の方式をとってきました。
2020年頃から、いくつかの企業が移行を進めています。日立製作所はほぼ全社員の職務記述書を作成し、移行の完了を掲げました。富士通は2020年4月に約1万5,000人の管理職にジョブ型の等級制度を導入し、その後ほかの社員への拡大に動きました。KDDIは2020年からジョブ型の制度に移行し、新卒の一律の初任給を廃止しました。資生堂も広く引用される事例です。政府もこの流れを後押ししており、内閣官房、経済産業省、厚生労働省は2024年8月、20社の事例を収めた「ジョブ型人事指針」を共同で公表しました。
移行が現実に起きていることは認めつつ、その限界にも触れておく必要があります。日本版の多くは折衷型で、まず管理職に適用されることがよくあります。そして法律は変わっていません。職務がなくなっても、解雇が正当と認められるには、企業は依然として別の職務を探す必要があります。
外資系企業にとってのポイント
- 日本人の職務経歴書にある「ジョブ型」は、実際には折衷型かもしれない。 候補者の会社で等級、報酬、異動が実際にどう運用されているかを確認しましょう。
- 解雇に関する法律は変わっていない。 職務記述書を書いても、そのポジションがなくなったときに雇用を終了できるわけではありません。裁判所は今も配置転換の努力を求めます。
- これらの企業出身の候補者は、等級の対応付けがしやすくなる。 職務範囲や等級に応じた報酬に慣れているため、自社のグローバル等級への対応付けで揉めにくくなります。
- 専門人材をめぐる競争は激しくなっている。 職務に対して報酬を払う日本企業は、希少なスキルについて、外資系企業の報酬水準により近づけられるようになっています。
- スキル評価は置き換えるのではなく、加える。 ワークサンプルやケース演習は、特にIT分野や中途採用で受け入れられつつありますが、日本の候補者は今も関係を築く対話を期待しています。構造化された評価はその代わりではなく、それと並行して用いましょう。
出典
- 内閣官房・経済産業省・厚生労働省「ジョブ型人事指針」、2024年8月28日。
- KDDI(2020年7月)、および日立製作所と富士通のジョブ型制度に関する日本経済新聞の報道。
- 濱口桂一郎氏によるメンバーシップ型雇用とジョブ型雇用に関する著述。