日本に住む外国人も他の人と同様に年金保険料を納めますが、多くは年金受給に必要な10年に達するはるか前に日本を離れます。脱退一時金は、納めた保険料の一部を返還するものです。請求するには、日本国籍を有しないこと、6か月以上保険料を納めていること、日本の年金の受給資格がないこと、日本を出国して国内に住所を有しないこと、被保険者資格の喪失から2年以内に請求することが必要です。
支給額は保険料の納付月数に応じて決まり、2021年4月以降に納付済期間がある人の上限は60か月、つまり5年です。厚生年金保険では平均標準報酬額に基づき、概ね本人負担分の保険料に相当します。国民年金では保険料の一定倍数の定額です。厚生年金保険分からは20.42%の所得税が源泉徴収されますが、納税管理人を通じて確定申告をすれば一部を取り戻せます。
2025年の年金制度改正では上限が8年に引き上げられ、有効な再入国許可を持っている間は請求できなくなります。日本に戻るつもりの人に払い戻しが行われないようにするためです。いずれの改正も政令で定める日から施行されますが、執筆時点ではその日付は決まっていませんでした。
外資系企業にとってのポイント
- 退職者に知らせる。 帰国する外国人社員は、請求できることを知らなかったり、2年の期限を過ぎてしまったりすることがよくあります。
- 請求すると記録が消える。 支給を受けると、払い戻された期間は日本の年金にも、母国との社会保障協定による期間通算にも算入されなくなります。協定締結国の出身者にとっては、記録を残しておくほうが価値が大きい場合があります。
- 報酬パッケージの設計では副次的な要素。 社会保障協定のない国からの短期赴任では、払い戻しで二重負担のコストの一部しか回収できません。
- 再入国許可のルールに注意する。 施行後は、戻る予定で再入国許可を得て出国した社員は、請求までに待つ必要があります。
出典
- 厚生年金保険法附則第29条、国民年金法附則第9条の3の2。
- 日本年金機構、脱退一時金と2021年4月の支給上限引き上げに関する案内。
- 国民年金法等の一部を改正する法律(2025年6月成立)。