日本のすべての上場企業と、株主数が多い、または過去に募集・売出しを行った一部の非上場企業は、毎年有価証券報告書を提出しなければなりません。米国の10-Kに相当する書類で、監査済みの財務諸表に加え、事業内容、リスク、経営者による分析、ガバナンス、株主、役員に関する詳細な記述で構成されます。提出期限は事業年度終了後3か月以内で、大多数を占める3月決算企業では6月に提出されます。
日本で採用を行う人にとって最も役立つのは、従業員の状況に関する項目です。提出会社単体のセグメント別の従業員数、平均年齢、平均勤続年数、賞与を含む平均年間給与が記載されています。2023年3月31日以後に終了する事業年度からは、人的資本に関する戦略に加え、関連法に基づいて公表している場合には女性管理職比率、男性の育児休業取得率、男女間賃金格差も記載されています。報酬総額が1億円以上の役員は個別に氏名が開示されます。
2026年2月20日に改正された内閣府令は、2026年3月31日以後に終了する事業年度について、さらに記載事項を追加しました。グループの経営戦略と連動した人材戦略、従業員の給与等の決定に関する方針、平均年間給与の対前年増減率です。提出時期も変わりました。2025年3月に金融担当大臣がすべての上場企業に株主総会前の提出を要請した後、EYの集計では、2026年に株主総会前に提出した3月決算の上場企業は88.5%と、57.9%から上昇しました。
外資系企業にとってのポイント
- 無料で使える最良の給与ベンチマーク。 企業ごとの平均年間給与を見れば、ターゲット企業の給与水準がすぐにわかります。ただし、親会社単体のみが対象で、あらゆる年齢・等級を合算した数値であることに注意してください。
- ターゲット企業の人材にアプローチする前に読む。 従業員数の推移、リストラ、希望退職の募集、新たな戦略は、報道より先にここに表れます。
- 新しい給与増減率の開示は採用の武器になる。 2026年からは、どの競合企業が平均給与をどれだけ引き上げたかがわかります。
- 役員報酬の開示には限界がある。 個別に開示されるのは1億円以上の報酬のみなので、わかるのは市場の最上位であり、典型的な役員報酬パッケージではありません。
出典
- 金融商品取引法第24条
- 企業内容等の開示に関する内閣府令(2026年2月20日改正、2026年3月31日以後に終了する事業年度から適用)
- EY Japan、2026年3月期決算企業の株主総会前の有価証券報告書提出に関する分析(2026年7月)