厚生労働省は毎年夏、多数の事業所を対象に、6月に支払った賃金と前年の賞与について調査しています。主な集計結果は常用労働者10人以上の民営事業所を対象としており、2025年の集計では52,000をわずかに上回る事業所が対象となりました。結果は翌年3月に公表され、詳細な統計表は政府統計の総合窓口(e-Stat)に掲載されます。
主要な指標は所定内給与額で、基本給と毎月決まって支払われる手当を含み、時間外手当と賞与を除いたものです。2025年のフルタイム労働者の平均は340,600円で過去最高となりました。男性は373,400円、女性は285,900円で、女性は男性の76.6%と、比較可能なデータが始まった1976年以降で最も格差が縮小しました。調査では年間賞与も把握しているため、年収を推計できます。
この調査の価値は内訳にあります。賃金は産業、職種、年齢階級、勤続年数、学歴、雇用形態、地域、企業規模別に分析でき、従業員1,000人以上の企業については別の数値があります。多くの公的政策の基準にもなっており、労働者派遣法の労使協定方式のもとで派遣元が満たさなければならない一般賃金の水準もその一つです。
外資系企業にとってのポイント
- 年齢と賃金のカーブがわかる。 業界ごとに、年齢と勤続年数に応じて賃金がどれだけ急に上がるかがわかります。日本企業の45歳が、同程度のスキルを持つ若手よりもかなり高い給与を受けている理由がここから見えてきます。
- シニアのバイリンガル人材市場は見えない。 エグゼクティブや専門職のバイリンガル人材の報酬はこうした平均を大きく上回り、個別には把握できません。背景情報や大まかな等級の目安として使い、カントリーヘッドの報酬水準の決定には使わないでください。
- 所定内給与額は年間の現金報酬総額を過小に示す。 大手日本企業では賞与が数か月分の給与に相当することがあります。候補者がそうしているように、年間ベースで比較してください。
- 自社の男女間賃金格差の説明に活用する。 全国や業界の数値は、自社の開示内容の背景として役立ちます。
出典
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況」(2026年3月24日公表)
- 労働者派遣法第30条の4、厚生労働省が毎年発出する一般賃金に関する通達