開示するのは一つの比率、すなわち男性の平均年間賃金に対する女性の平均年間賃金の割合です。全労働者、正規雇用労働者、非正規雇用労働者の3区分で、小数点第1位まで示す必要があります。事業主は自社のウェブサイトまたは厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」で公表し、毎年、事業年度終了後おおむね3か月以内に更新します。差異の要因について説明を付記することもでき、2026年に改正された指針では、格差の背景にある要因の分析が推奨されています。
この義務は2022年7月8日に常用労働者301人以上の事業主を対象に始まりました。2026年4月1日に施行された改正法により、対象は101人以上の事業主に拡大されています。新たに対象となる事業主の場合、最初の公表はその日以後に最初に終了する事業年度が対象となるため、3月決算の企業であれば2027年6月末ごろまでに公表することになります。上場企業など有価証券報告書の提出会社は、同じ数値を有価証券報告書にも記載します。
全国の状況は少しずつ改善しています。2026年3月に公表された令和7年(2025年)賃金構造基本統計調査では、フルタイム労働者の女性の平均所定内給与は男性の76.6%となり、比較可能な1976年以降で最も格差が小さくなりました。主な要因はよく知られており、上位等級の女性が少ないこと、コース別の人事制度、平均勤続年数の短さ、世帯主であることに連動した手当などが挙げられます。
外資系企業にとってのポイント
- 日本法人が新たに対象になっていないか確認する。 従業員が100人を超えた子会社は、2027年に初回の公表期限を迎える可能性があり、それに気づいていないこともあります。
- 説明欄を活用する。 男性中心の営業部門と女性中心のサポート部門という構成に引っ張られた数値は、実際の賃金制度よりも悪く見えることがあります。理由を説明してください。
- 手当を見直す。 主たる生計維持者に支給される家族手当や住宅手当は、格差を広げる傾向があります。多くの企業がこれらを基本給に組み込みつつあります。
- 候補者は数字を見ている。 特にシニア層の女性は、この数値で企業を比較します。格差が小さいことは、日本企業から人材を採用する外資系企業にとってアピールポイントになります。
出典
- 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)および同省令。公表義務は2022年7月8日施行。令和7年法律第63号により改正、2026年4月1日施行。
- 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」、2026年3月24日公表。
- 労働政策研究・研修機構(JILPT)、改正法に関するフォーラム資料、2026年2月。