労働組合法第7条は、4類型の不当労働行為を定めています。第一は不利益取扱いで、労働者が組合員であること、組合に加入しまたは組合を結成しようとしたこと、正当な組合活動をしたことを理由に、解雇、降格、配転、減給その他の不利益な取扱いをすることです。組合に加入しないことを雇用の条件とする、いわゆる黄犬契約も同じ類型に含まれます。第二は正当な理由のない団体交渉の拒否で、形式的に応じるだけで実質的な交渉をしない場合も含まれます。第三は組合の運営への支配・介入、または運営経費の援助です。第四は、労働委員会への申立てや証拠の提出をしたことを理由に労働者に不利益を与えることです。
救済手段は刑事罰ではなく行政上のものです。労働組合または個々の労働者は、行為の日から1年以内に、公益・労働者・使用者の三者の委員で構成される都道府県労働委員会に救済を申し立てます。労働委員会は、バックペイを伴う原職復帰、誠実な団体交渉の実施、行為を認める文書の掲示または交付(ポスト・ノーティス)を命じることができます。いずれの当事者も中央労働委員会に再審査を申し立て、さらに裁判所で争うことができるため、事件が何年にも及ぶことがあります。確定した命令に従わない場合は罰則があります。
小規模な使用者が最も直面しやすいのは団交拒否の類型です。従業員が1人で加入した外部の組合であっても、これを申し立てることができるからです。誠実な団体交渉とは、交渉の場に出席し、使用者の立場を理由とともに説明し、関連する情報を提供することを意味します。譲歩することを意味するわけではありません。
件数は多くはありませんが、安定して発生しています。2024年に都道府県労働委員会が受け付けた新規申立ては200件で、2023年の255件から減少しました。そのうち153件(76.5%)は個人が直接加入する外部の組合が関わるもので、民間企業の事件の約4分の3で団交拒否が主張されていました。
外資系企業にとってのポイント
- 権限を持つ誰もが問題を生みうる。 日本人従業員に「組合に入るとキャリアに響く」と告げたリージョナルマネージャーは、組合に申立ての材料を渡したことになります。
- 団体交渉には決定権を持つ人物の出席が必要。 権限も日本語力もない代理人を出席させたり、海外から書面でのみ回答したりすることは、団交拒否と認定されるよくある経路です。
- 命令は公になりうる。 事業所内への文書掲示や、公表される労働委員会の命令は、救済内容に加えて評判上のコストになります。
- パフォーマンスの問題と組合の問題を切り分ける。 組合が関与する前にパフォーマンス上の懸念を記録しておけば、その後の措置が報復と受け取られずに済みます。
出典
- 労働組合法第7条、第19条、第27条、第27条の12、第27条の15、第28条、第32条
- 中央労働委員会、不当労働行為審査手続の概要
- 中央労働委員会「労働委員会年報」2024年、不当労働行為事件に関する章