取締役は株主によって選任され、会社との関係は雇用ではなく委任です。善管注意義務と忠実義務を負い、任務懈怠により生じた損害については会社に対して、悪意または重大な過失がある場合には第三者に対して責任を負います。任期は原則2年です。株式の譲渡を制限している非公開会社は、定款で最長10年まで延長できます。取締役会設置会社には3人以上の取締役が必要ですが、取締役会を置かない小規模な会社では1人でも構いません。
日本企業は伝統的に取締役会を社内出身者で構成し、その多くは従業員としての役職を兼ねてきました。取締役の間には常務、専務といった序列があります。上場企業ではこれが変わりつつあります。2021年3月から、会社法により、有価証券報告書の提出義務を負う監査役会設置の公開大会社(多くの上場企業が該当)には社外取締役を1人以上置くことが義務付けられており、コーポレートガバナンス・コードはさらに多くを求めています。
株主は普通決議によりいつでも取締役を解任できます。正当な理由なく解任された取締役は損害賠償を請求できますが、日本の解雇規制は取締役の地位そのものには適用されません。
外資系企業にとってのポイント
- 子会社の取締役には実質的な責任が伴う。 カントリーマネージャーやリージョナルの役員を取締役に就任させれば、本人が個人として責任を負う立場になります。役員賠償責任保険(D&O保険)を手配してください。
- 報酬のルールは税務のルール。 取締役の報酬は、原則として定期同額給与または事前確定届出給与として支払う場合にのみ損金算入できます。取締役への裁量的な賞与は、通常は損金算入できません。
- 取締役の地位と職務を切り分ける。 取締役が従業員を兼ねる場合は、両方の関係を書面化してください。取締役を退任させても雇用は終了しません。
- 取締役のポストは交渉材料になる。 シニアの日本人候補者は、肩書として取締役のポストを求めることがあります。それに伴う責任を負わせたいかどうか検討してください。
- 退任のルールが異なる。 取締役は雇用契約ではなく株主からの委任に基づいて職務を担うため、従業員の退職予告期間や解雇規制は通常の形では適用されません。入社日のタイミングや引継ぎの期待値は、それを踏まえてオファー前に詰めておいてください。
出典
- 会社法第327条の2、第329条、第330条、第331条、第332条、第339条、第423条、第429条
- 法人税法第34条(役員給与の損金不算入)