会社法第349条のもとで、代表取締役は会社の業務に関する一切の裁判上または裁判外の行為をする権限を持ちます。親会社の決裁権限規程など、その権限に加えた内部的な制限は、それを知らない第三者には対抗できません。取締役会設置会社では、取締役会が取締役の中から代表取締役を選定します。代表取締役は複数置くこともできます。
代表取締役は通常は社長ですが、両者は同じものではありません。社長は社内の肩書きであり、代表取締役は法的な役割です。ここでも法律は外部の者を保護しています。会社が取締役に社長など代表権を有すると認められる名称を使わせた場合、代表取締役として登記されていなくても、その取締役の行為について会社が責任を負うことがあります。
2015年3月までは、日本の会社の代表取締役のうち少なくとも1人は日本に住所を有する必要がありました。法務省はこの要件を廃止しましたが、外国会社の日本支店には引き続き日本に住所を有する代表者が必要です。代表取締役の氏名と住所は商業登記簿に記載されますが、2024年10月からは、住所の表示を市区町村までにとどめるよう申し出ることができます。
外資系企業にとってのポイント
- 誰が署名できるかを決める。 カントリーマネージャーを代表取締役にすれば、会社を拘束する権限を与えることになります。多くのグループは、地域統括の幹部を共同代表に置いたり、社内の決裁ルールを設けたりしていますが、それが外部の者を拘束しないことは承知のうえです。
- 非居住者でも合法だが、常に実用的とは限らない。 銀行取引、税務申告、日々の契約は、日本にいる代表者のほうが円滑です。
- シニア候補者にとって大きな魅力となる役割。 日本法人の代表取締役という立場は、顧客に対しても候補者自身の人脈においても重みを持ちます。
- 解職は取締役会の決議事項。 代表権を外しても、その人の取締役の地位や雇用は終了しません。それぞれに別の手続きが必要です。
出典
- 会社法第349条、第354条、第362条、第817条。
- 法務省、代表取締役の全員が日本に住所を有しない場合の登記に関する2015年3月16日付の通知。
- 商業登記規則(2024年10月1日施行の改正後。代表取締役等の住所の一部非表示)。