日本ではストックオプションの課税方法は二通りあります。税制非適格ストックオプションは権利行使時に課税されます。時価と権利行使価額の差額が給与所得となり、給与に合算されて、住民税を含め最高約56%の累進税率で課税されます。その後の売却益は譲渡所得として20.315%で課税されます。2005年、最高裁判所は、米国親会社が日本子会社の従業員に付与したストックオプションの権利行使益は給与所得であり、一部の納税者が主張していた軽課の一時所得ではないと判断しました。
税制適格ストックオプションは権利行使時には課税されません。課税は売却時のみで、利益全体が譲渡所得として20.315%で課税されます。適格となるには、会社またはその子会社が自社の取締役や従業員に無償で付与すること、譲渡が禁止されていること、権利行使価額が付与時の時価以上であること、付与決議の日から2年後から10年後まで(設立5年未満の非上場会社は15年後まで)に行使すること、そして年間の権利行使価額の上限内であることが必要です。2024年度税制改正により、この上限は1,200万円から、設立5年未満の非上場会社では2,400万円に、設立5年以上20年未満の非上場会社と上場後5年以内の会社では3,600万円に引き上げられました。発行会社が日本の会社でなければならないため、外国親会社の株式に係るオプションは常に税制非適格です。
外国親会社が付与したオプションは通常、日本の給与計算で源泉徴収されないため、従業員本人が確定申告をしなければなりません。日本の子会社または支店は、各権利行使について翌年3月31日までに税務署に報告する必要があります。
外資系企業にとってのポイント
- 自社のオプションは最高税率で課税される。 自社株式のオプションを行使する日本のシニア従業員は、差額全体に給与所得として課税されます。権利行使に合わせて、納税資金を賄うための株式売却(sell-to-cover)の仕組みを用意しましょう。
- 確実に申告させる。 権利行使益は企業から税務署に報告されるため、申告を忘れた従業員は把握されます。株式報酬を受けるすべての人に確定申告の支援を提供してください。
- 未確定のオプションは転職のコストになる。 含み益のあるオプションを持ったまま会社を辞める応募者は、その手当てを期待します。オファーを組み立てる前に、本人が失うものの全体像を把握しましょう。
- 日本のスタートアップは税制適格オプションで競ってくる。 上限の引上げにより、国内スタートアップの報酬パッケージは、シニア人材にとって以前より魅力的になっています。
出典
- 所得税法第28条、第228条の3の2(外国親会社等が付与した経済的利益に関する調書)
- 租税特別措置法第29条の2(税制適格ストックオプション)、2023年度・2024年度税制改正による改正後のもの
- 最高裁判所、アプライド・マテリアルズ事件、2005年1月25日
- 国税庁、ストックオプションに対する課税に関するQ&A(2024年11月改訂)