日本にある外資系企業の従業員にとって、RSUは、特にテクノロジーやライフサイエンス企業で一般的な株式報酬となっています。税務上の扱いはシンプルです。付与時には課税されません。ユニットの権利が確定して株式が交付されると、その日の時価が給与所得となり、給与と合算されて、住民税を含め最高約56%の累進税率で課税されます。その金額が株式の取得価額となり、後に売却した際の値上がり益は譲渡所得として20.315%で課税されます。
実務上の問題は徴収です。外国親会社が海外の証券会社を通じて株式を交付する場合、日本の子会社は通常支払者とはならないため、権利確定時に日本の税金は源泉徴収されません。給与については年末調整で完結している場合でも、従業員は確定申告でこの所得を申告しなければなりません。日本の子会社または支店は、誰が何を受け取ったかを税務署が把握できるよう、各交付について翌年3月31日までに税務署へ調書を提出する必要があります。税理士によれば、外資系企業の従業員の間では権利確定分の申告漏れが繰り返し問題となっており、後になって加算税や延滞税を伴って発覚します。
権利確定期間中の日本への入国・出国は、扱いを複雑にします。権利確定時の価額は期間按分され、付与から権利確定までのうち日本で勤務した日数に対応する部分が国内源泉の給与所得となります。権利確定前に日本を離れた人も、その部分については日本で課税されます。また、権利確定時点でまだ非永住者である新任者は、その部分については全額課税されますが、国外で稼得した部分については日本国内で支払われるか日本に送金された場合にのみ課税されます。国税庁はストックオプションにも同じ考え方を適用しており、租税条約によって修正される場合があります。
日本企業にも独自の制度があります。2016年度および2017年度の税制改正以降、役員向けの譲渡制限付株式やパフォーマンス・シェア・ユニットが日本の上場企業に広まりました。役員報酬に関するルールの範囲内で設計すれば、会社側で損金算入できるためです。
外資系企業にとってのポイント
- 未確定のRSUは転職の最大のコスト。 テクノロジーやライフサイエンス企業の上級職の候補者は、数年分の未確定の付与を手放すことになるかもしれません。サインオンでの株式付与または現金で補填しなければ、オファーは減給と受け取られます。
- 権利確定は現金なしに税負担を生む。 従業員は、売却していないかもしれない株式について日本の税金を負担します。権利確定時の納税資金分の売却(sell-to-cover)と、入社時のわかりやすい説明が問題を防ぎます。
- 申告を支援する。 株式報酬を持つ従業員に確定申告のサポートを提供するコストは、税務調査に直面する役員が生じさせるコストに比べればわずかです。
- 権利確定スケジュールに注意する。 3〜4年での権利確定が一般的です。大きな権利確定まで数日から数週間という候補者は、それを待つことが多いので、入社日はそれに逆らうのではなく、それに合わせて計画しましょう。
出典
- 所得税法第28条、所得税法施行令第84条(譲渡制限付株式による経済的利益)。
- 所得税法第228条の3の2(外国親会社等が供与した経済的利益に関する調書)。
- 所得税法第161条(国内源泉所得)、所得税基本通達161-41(国内外の勤務に係る給与の按分)。
- 国税庁、ストックオプションに係る国内源泉所得の範囲に関するQ&A(2025年8月時点)。
- 法人税法第34条(役員に対する株式報酬の損金算入)。