職務給は、人ではなく仕事に対して支払われます。企業は職務ごとに記述書を作成し、その大きさを評価してグレードに格付けし、グレードごとに賃金レンジを設定します。レンジは通常、市場水準と照らし合わせて決めます。より大きな職務に移れば賃金は上がり、より小さな職務に移れば下がることもあります。これを緩やかにした役割給は、個々の職務ではなくより広い役割を格付けするもので、管理職によく用いられます。
日本は1950〜60年代、さらに1990年代の「成果主義」改革でも職務給の導入を試みましたが、定着は限定的でした。今回の移行がより持続する可能性があるのは、背景にある圧力が異なるためです。デジタル人材や専門人材の獲得競争、人事制度のグローバル統合、そして政府の労働市場改革です。2024年8月に内閣官房が公表した指針は、20社がジョブ型制度をどのように導入したかを紹介しています。同一労働同一賃金のルールも同じ方向に働きます。賃金差は、職務の違いが文書で示されていれば説明しやすいからです。
導入状況にはばらつきがあります。管理職にのみ職務給を導入した企業や、従来の職能等級と併用している企業も多くあります。日本の法律では賃金の引下げや配置換えによる職務からの外しが難しいため、日本のジョブ型制度は依然として強い雇用保護の枠内にあります。
外資系企業にとってのポイント
- 報酬面での優位性が縮まる。 大手日本企業が定義された職務に市場水準の賃金を支払うようになれば、専門人材の獲得で外資系企業とより対等に競うことになります。
- 応募者の勤務先が実際にどこまで移行したかを確認する。 「ジョブ型」を掲げる企業でも、適用は管理職だけ、あるいは新規採用者だけという場合があります。応募者の賃金が職務を反映しているのか、従来の等級を反映しているのかを確かめてください。
- 自社の制度を理解できる応募者が増える。 ジョブ型の日本企業出身者は、すでにグレード、レンジ、職務記述書という枠組みで考え、勤続年数よりもスキルや成果で評価されることに慣れています。面接も入社後の適応も比較的スムーズです。
- 降格には依然として合理的な理由が必要。 職務給の下でも、より小さな職務への異動と賃金引下げは、不合理な不利益変更として争われる可能性があります。
出典
- 内閣官房・経済産業省・厚生労働省「ジョブ型人事指針」(2024年8月)
- 労働契約法第8条〜第10条、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)第8条