日本の給与は通常、月額で示され、その中核が基本給です。その上に手当、時間外手当、夏と冬の賞与が乗ります。厚生労働省の2020年調査(2019年11月分の賃金が対象)では、所定内賃金の平均は31万9,700円で、うち基本給が27万2,200円、手当が4万7,500円でした。
伝統的な日本企業では、基本給は職務ではなく本人の属性を反映する要素で構成されています。職能資格制度に基づく等級ごとの額、場合によっては年齢給や勤続給、そして毎年の昇給分です。基本給は毎年2つの仕組みで動きます。定期昇給と、春闘で合意される一律のベースアップです。賞与が基本給の何か月分という形で決まることが多く、退職金も最終基本給やそれに連動するポイント制で計算されるのが一般的なため、基本給の引き上げは月給だけでなくはるかに広い範囲に波及します。日本企業が歴史的に、基本給を上げるよりも手当や一時金の追加を好んできた理由の1つがここにあります。
基本給は法令上のいくつかの計算の基準にもなります。割増賃金は基本給とほとんどの手当を基礎に計算されます。最低賃金の判定では基本給とほとんどの固定的な手当を対象としますが、家族手当、通勤手当、精皆勤手当、賞与、時間外手当は除外されます。
外資系企業にとってのポイント
- 基本給が年収に占める割合は想定より小さい。 日本企業では、賞与や手当を含めると基本給は年収の半分から3分の2程度にとどまることがよくあります。基本給ではなく、現金報酬の総額で比較してください。
- ただし、候補者は基本給を起点に交渉する。 日本人候補者は月額の基本給と賞与の月数で考えます。自社の年額形式に加えてその形でもオファーを示すと、誤解を防げます。
- 基本給の引き上げは、日本企業では波及コストが大きいものの、自社ではそれほどでもない。 基本給連動の賞与や退職金がない報酬体系であれば、基本給を上げても、候補者の現職企業から見えるほどのコストはかからず、強力な交渉材料になり得ます。
- 手当の組み込みは意図的に行う。 手当を設けず基本給一本で支払う場合は、候補者が失う手当分を新しい基本給でカバーできているか確認してください。
出典
- 厚生労働省「令和2年就労条件総合調査」(2019年11月分の賃金)
- 労働基準法第37条、最低賃金法第4条および同法施行規則(最低賃金の判定から除外される賃金)