内定とは、雇用主が候補者に採用を伝える時点を指します。新卒の場合は、4月入社に先立って10月1日に行われる正式な行事で、内定式を伴うことも少なくありません。中途採用の場合は、通常、給与、役職、入社日を記載したオファーレターの形をとります。
外資系企業が見落としがちなのが、その法的な重みです。1979年の大日本印刷事件で、最高裁判所は、承諾された内定によって、使用者が解約権を留保した労働契約が成立すると判断しました。この解約権を行使できるのは、内定時には知ることができなかった事由で、かつ客観的に合理的な理由がある場合に限られます。つまり、承諾済みの内定の取消しは解雇に近いものです。
正式な内定の前に、非公式な内々定を出す企業も多くあります。内々定の法的な位置付けは内定より弱いものの、取り消した企業が請求を受ける例はあります。
外資系企業にとってのポイント
- 取り消す可能性のある内定は出さない。 候補者が承諾した後の地域本社による採用凍結は、正当な理由とは認められにくく、候補者はすでに現職に退職を申し出ているかもしれません。
- 承認はオファーの前に取る。 地域本社の承認、予算、ビザの許可が未確定であれば、先に確定させるか、条件として書面で明確に記載します。
- 候補者は内定を重く受け止めている。 日本の候補者は、内定を承諾すると通常は翌日には退職を申し出ます。その後の取消しは本人にとって深刻な事態であり、企業にとっては法的リスクです。
- 検討の時間を与える。 オファーの検討期間として5営業日から10営業日は一般的です。候補者は家族、恩師、信頼できる同僚に相談しており、これは引き延ばしではなく、デューデリジェンスです。この期間に圧力をかけると、承諾が入社前の辞退に変わりかねません。
- 承諾を書面で確認してから、他の候補者をお断りする。 その後も退職交渉と退職までの期間を通じて連絡を保ちます。採用が完了するのは、本人が「はい」と言ったときではなく、入社したときです。
出典
- 最高裁判所、大日本印刷事件、1979年7月20日判決
- 労働契約法第16条