「無期」とは期間の定めがないという意味です。有期契約社員が労働契約法第18条に基づき無期労働契約に転換した場合、原則として変わるのは契約期間の定めがなくなる点だけで、賃金、職務、福利厚生は従前のまま維持されます。多くの企業は、こうした社員を正社員と区別するため、「無期雇用社員」や「無期転換社員」という独自の区分を設けました。この区分で直接採用する企業もあります。
その結果、第三の層が生まれています。無期雇用社員の雇用保障は正社員に近く、解雇は同じ労働契約法第16条の基準で判断されます。一方で、賃金は契約社員の水準のまま、賞与なし、退職金なし、昇進ルートなしということもあります。さらに、制度の隙間に落ちる可能性があります。同一労働同一賃金のルールを定めるパートタイム・有期雇用労働法は、短時間労働者または有期雇用労働者を対象としています。フルタイムで期間の定めのない社員は、そのいずれにも該当しません。適用されるのは、労働条件は均衡を考慮すべきとする労働契約法の一般原則のみであり、厚生労働省は待遇の見直しを企業に促しています。
2024年4月からは、契約更新のたびに、無期転換申込権が発生する有期契約社員に対して、転換できることと転換後の労働条件を明示することが義務付けられ、この区分の存在が見えやすくなりました。
外資系企業にとってのポイント
- 自社に該当者がいるか確認する。 長く勤める契約社員を抱える外資系子会社の多くには、制度として設計した覚えがなくても無期雇用社員が存在します。
- 就業規則に区分を明記する。 無期転換者が正社員でないなら、何者なのかを定めます。賃金、評価、定年、正社員登用の道の有無です。規定がないことが紛争を招きます。
- 雇用保障が退職のあり方を変える。 無期転換した社員との雇用を終了させることは、雇止めではなく解雇にあたります。
- 人材パイプラインとして活用する。 成果を上げている無期転換者は正社員ポジションの有力候補であり、登用はリテンションにも有効です。
出典
- 労働契約法第3条、第16条、第18条
- 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)第2条、第8条
- 労働基準法施行規則第5条(2024年4月施行の改正後)