日本には法定の病気休暇がありません。病気になった社員はまず年次有給休暇を使い、病気が長引けば、会社が就業規則で設ける休職に移ります。大企業の多くがこの制度を持っています。規則では期間(勤続年数に応じて数か月から1年以上とすることが多い)や、給与を支払うかどうかを定めます。休職は出向、留学、身柄拘束などほかの事情も対象にできますが、主な用途は私傷病で、現在はメンタルヘルス不調が大きな割合を占めています。
金銭面は通常、健康保険が支えます。給与が支払われない場合、休業4日目から標準報酬日額の約3分の2が傷病手当金として支給されます。2022年1月からは、実際に支給を受けた日数のみを数えて通算18か月まで受給できるようになり、復職後に再発しても期間が消化されてしまうことはありません。
決定的に重要なのは休職期間の終わりです。多くの就業規則では、期間満了時に回復していなければ自動的に退職となると定めています。これは実質的に解雇と同様に機能するため、裁判所は回復が本当に不可能だったかを審査します。1998年の片山組事件で最高裁は、職種を限定せずに採用された社員が、従前の業務はできなくても、会社が現実的に配置できる他の業務ができるのであれば、なお労務の提供が可能であると判断しました。復職可否に関する産業医の意見は重く扱われます。
外資系企業にとってのポイント
- すべては就業規則次第。 期間、給与、復職の手続き、期間満了時の扱いは、必要になる前に定めておきましょう。
- メンタルヘルス事案に備える。 長期化しやすく、再発もあり、復職の判断には医学的な意見が必要です。本社で判断しないでください。
- 自動退職は近道ではない。 社員が別の職務でなら復職できる場合、期間満了による雇用終了は争われる可能性があります。
- 上級職の候補者は確認してくる。 手厚い有給の病気休暇がある日本企業から移る候補者は、自社の制度と比較することがあります。
出典
- 健康保険法第99条(傷病手当金)、改正後(2022年1月1日から通算18か月)
- 最高裁判所、片山組事件判決(1998年4月9日)
- 労働契約法第16条