名称が紛らわしいため、まず整理しておく価値があります。高度プロフェッショナル制度(略して「高プロ」)は労働時間に関する制度です。一方、「高度専門職」は外国人のための在留資格です。どちらも「高度」という言葉を含みますが、共通点はそれだけです。外国人社員がどちらか一方、両方、あるいはどちらにも該当しないこともあり得ます。
高プロは2018年の働き方改革関連法で導入され、2019年4月に施行されました。日本で唯一の完全なホワイトカラー・エグゼンプションです。対象となる社員には、労働基準法の労働時間、休憩、休日、深夜割増賃金の規定が一切適用されません。深夜割増賃金が引き続き適用される管理監督者の適用除外よりも踏み込んだ制度です。
要件は厳格です。業務は指定された5類型、すなわち金融商品の開発、ファンド運用およびディーリング、証券アナリスト業務、コンサルタント業務、新たな技術・商品の研究開発のいずれかに該当しなければなりません。年収は1,075万円以上が保障されている必要があります。使用者は、委員の5分の4以上の多数による労使委員会の決議を得て労働基準監督署に届け出るとともに、各社員から書面で同意を得なければならず、この同意は撤回できます。さらに、年104日以上かつ4週間を通じ4日以上の休日を与え、勤務間インターバルなどの健康確保措置を1つ追加し、長時間に及ぶ場合は医師による面接指導を実施する必要があります。
導入は少数にとどまっています。2025年3月時点で導入企業は34社、対象者は約1,390人で、その9割以上がコンサルタントでした。
外資系企業にとってのポイント
- 解決策になることはまれ。 労使委員会、本人同意、健康管理のモニタリングと、運用の負担が重い制度です。外資系の日本法人の多くは、代わりに管理監督者の適用除外やフレックスタイム制を活用しています。
- 在留資格と混同しない。 候補者が「高度専門職」と言う場合、ほぼ確実に労働時間ではなく在留資格の話です。
- 同意は撤回できる。 社員が制度から外れた場合の給与と労働時間の扱いを想定しておきましょう。
- 少人数で高報酬のチームには機能し得る。 定着しているのはコンサルティングやトレーディングの部門です。
出典
- 労働基準法第41条の2および労働基準法施行規則(年収要件1,075万円)、2019年4月1日施行
- 厚生労働省「高度プロフェッショナル制度に関する報告の状況」(2025年3月末時点)