家族手当は、戦後の「生活給」の考え方、つまり男性が妻子を養うようになれば賃金も上がるべきだという考え方から生まれました。通常は、所得が一定の上限を下回る配偶者(その上限は税や社会保険の所得基準に連動していることが多い)と、子ども1人あたりの定額について支給されます。厚生労働省の2020年の調査(2019年11月分の賃金が対象)では、68.6%の企業が家族手当または扶養手当を支給しており、受給者の平均は月額17,600円でした。
配偶者分は縮小しつつあります。配偶者の収入が基準を超えると支給が止まるため、共働きの配偶者が就業を増やす意欲をそぎ、女性の就業に関する政府の政策と逆行するからです。トヨタ自動車は2016年に配偶者手当の段階的な廃止を始め、代わりに子ども手当を増額しました。2024年の人事院勧告を受けて、国家公務員の配偶者手当は段階的に削減され、2026年度に廃止される一方、子どもに係る手当は月額13,000円に引き上げられます。民間企業の多くは公務員給与を参考にするため、さらなる見直しが見込まれます。
家族手当は均等待遇の面でも重要です。2020年10月の日本郵便事件で、最高裁は、長期にわたり継続して勤務する契約社員に扶養手当を支給しないことは不合理な相違だと判断しました。扶養家族の数に応じて支給する家族手当は、割増賃金の算定基礎から除外でき、最低賃金の計算からも除かれます。
外資系企業にとってのポイント
- 家族のいる候補者は、実際にお金を失うことがある。 伝統的な企業に勤め、配偶者と子ども2人がいる中途の候補者は、家族手当として月数万円を受け取っていることがあります。基本給だけのオファーでは、その分を吸収しなければなりません。
- 配偶者分を模倣しない。 家族向けの給付を設けるなら、子どもに連動した手当や、より幅広い福利厚生のほうが正当性を説明しやすく、市場の方向性にも沿っています。
- 一貫して適用する。 正社員に支給しているなら、同等の職務に就く勤続の長い契約社員にも支給すべきかどうかを検討しましょう。
出典
- 厚生労働省「就労条件総合調査」2020年(2019年11月分の賃金)。
- 人事院、給与勧告、2024年8月。
- 最高裁判所、日本郵便事件判決、2020年10月15日。
- 労働基準法第37条第5項、最低賃金法第4条第3項。