日常の言葉としての「改善」は、単に良くすることを意味します。経営の考え方としてのカイゼンは、より限定的な意味を持ちます。本社が設計するときどきの大きな変更ではなく、仕事に最も近い人たちが絶えず行う、着実で小さな変更です。1サイクルあたり3秒を節約するために工具棚の位置を変えるライン作業者も、顧客の記入ミスが減るように書式を書き直す営業アシスタントも、カイゼンを行っています。
この考え方はトヨタ自動車とその生産方式と最も強く結び付いています。そこでは作業者が問題に気付けばラインを止め、根本原因を突き止めて解決することが求められ、提案制度やQCサークルが何千もの小さな改善を競争優位へと変えています。1986年の今井正明氏の著書がこの言葉を欧米の経営者に紹介し、以来、リーン生産をはじめとする分野で一般的な用語となりました。
日本企業でカイゼンがどう機能するかを理解するうえで、二つの特徴が重要です。第一に、ボトムアップであり、長期勤続を前提としています。人は何年も続けていくと見込むプロセスだからこそ改善します。第二に、累積的でリスクが低いため、合意による意思決定とは相性が良い一方で、戦略的な変革の代わりにはなりません。カイゼンに秀でていながら、大きな賭けに出るのは遅いという会社もあり得ます。
外資系企業にとってのポイント
- カイゼンと変革を混同しない。 漸進的な改善に強い日本のチームは、自分たちの意見を聞かずに進めるトップダウンの再設計に抵抗することがあります。設計の段階から巻き込み、細部は彼らに任せましょう。
- オペレーション分野の採用では強みになる。 日本のメーカー出身の候補者は、実践的な改善の経験を豊富に持っていることがよくあります。数字を伴う具体例を尋ねましょう。たいていは控えめに語られるものの、確かに持っています。
- 現場に声を上げる経路を用意する。 自社のグローバルな改善プログラムが本社のテンプレートを通じてしか動かないのであれば、日本の社員が持ち込む習慣を失ってしまいます。
- 異なるテンポを想定する。 1年かけて小さな変化を数多く重ねるのが基本の形です。一段階の大きな変化が必要なら、そのことを明言し、理由を説明しましょう。
出典
- 今井正明『Kaizen: The Key to Japan's Competitive Success』(1986年)。
- トヨタ自動車、トヨタ生産方式に関する公表資料。