住宅手当は、賃金は世帯の生活を賄うべきだという考え方に根ざした、日本の代表的な手当の一つです。支給ルールは企業によって大きく異なります。定額を支給する企業、家賃の一定割合を上限付きで支給する企業、世帯主や賃貸住宅の居住者、転勤のある社員にだけ支給する企業もあります。厚生労働省の2020年の調査(2019年11月分の賃金が対象)では、47.2%の企業が支給していました。その割合は企業規模が大きいほど高く、従業員30〜99人の企業の43.0%から1,000人以上の企業の61.7%まで上がり、平均は月額17,800円でした。
税務上の扱いは単純です。住宅手当として現金で支給される額は給与であり、所得税と住民税の対象となり、社会保険料の算定にも含まれます。企業が借り上げて社員に転貸する社宅ははるかに有利に扱われるため、大企業はこちらを好むことがよくあります。
割増賃金については、住宅手当を算定基礎から除外できるのは、社員の実際の住宅費用に応じて額が変わる場合だけです。全員に一律の額を支給している場合は、算定基礎に含めなければなりません。均等待遇については、最高裁がハマキョウレックス事件(2018年)で、転勤のある正社員には住宅手当を支給し、転勤のない契約社員の運転手には支給しないことは不合理な相違ではないと判断しました。
外資系企業にとってのポイント
- 固定の現金報酬の総額に含めて考える。 日本の大企業出身の候補者は、年間数十万円相当の住宅手当を受け取っていることがあります。基本給だけのオファーであれば、総額で減額になっていないか確認しましょう。
- 現金の手当より社宅のほうが有利なことがある。 シニアの採用や転居を伴う場合、借り上げ住宅を用意して社員が家賃の一部を負担するほうが、同じ額を現金で払うより税引き後の価値が大きくなるのが普通です。
- 支給するなら理由と結び付ける。 転勤や転居に結び付いた手当は、正社員にだけ支給する手当より、同一労働同一賃金のルールのもとで正当性を説明しやすくなります。
- 割増賃金の算定基礎に注意する。 一律の住宅手当は、管理監督者でない社員の割増賃金の単価を引き上げます。
出典
- 厚生労働省「就労条件総合調査」2020年(2019年11月分の賃金)。
- 労働基準法第37条第5項、同法施行規則第21条。割増賃金の算定基礎から除外される住宅手当に関する労働省通達(1999年)。
- 国税庁、タックスアンサーNo.2597(使用人に社宅や寮などを貸したとき)。
- 最高裁判所、ハマキョウレックス事件判決、2018年6月1日。