このことわざは、早々に諦めたくなった人への助言です。冷たい石でも三年座り続ければ温まる、という意味です。最初の勤務先を辞めようかと考える新卒社員に、親や上司が今もこの言葉をかけます。採用の場面では、職務経歴書を読む際の習慣にもなっています。
日本の経営層の目には、2年ごとに会社を移ってきた人は、意欲的というよりも、忍耐が足りない、腰が据わっていない、あるいは表には出ないものの成果が上がっていないと映ります。一つの職務に3〜4年というのが、疑問を持たれ始めるおおよその下限です。グローバル市場では、同じ経歴が流動性や適応力、需要の高さを示す強みにもなり得ます。日本での採用プロセスでは、この二つの読み方がぶつかり、しばしば対立します。
このことわざが若い人の離職を止めているわけではありません。政府の統計では、大卒者の約3分の1が最初の勤務先を3年以内に離職しており、2022年に就職した人では33.8%でした。人手不足のもとで、1〜2年ごとに転職している経歴を以前より受け入れる日本企業も増えています。しかし、現在経営幹部を担う世代にとって、在籍年数は今も真っ先に確認する項目の一つです。
外資系企業にとってのポイント
- 日本の経営陣は在籍年数を確認すると考えておく。 地域本社のパネルで承認された候補者が日本側で止まってしまう理由として、短期在籍は最も多いものの一つです。
- 短期在籍の理由は先に説明する。 買収、拠点の閉鎖、期間限定のプロジェクト、上司の退職などは正当な理由です。面接官に推測させるのではなく、候補者の紹介資料に記載しておきます。
- この判断基準をそのまま取り入れない。 優秀なバイリンガル人材の中には、引く手あまたであったために転職を重ねてきた人もいます。回数ではなく、その中身で判断しましょう。
- 候補者も同じ物差しで貴社を見ている。 日本人のシニア候補者の多くは、口には出さなくても、3年後にまだこの仕事に就いているか、それだけの価値があったと言えるか、と自問しています。2年ごとに変わる日本戦略は、その問いに答えを与えてしまいます。
出典
- 伝統的なことわざ。
- 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(2022年3月卒業者)、2025年公表。