多国籍企業は、日本での採用プロセスを、カントリーヘッド、人事責任者、リージョンのスポンサーが同じ基準で候補者を評価するものとして説明しがちです。実際はそうではありません。リージョンやグローバルの関係者は、国際経験、英語力、変革の実績といった職務要件に照らして候補者を見ます。日本の経営陣は、より静かな、しかし多くの場合より決定的な問いを立てます。この人物は、自分たちが何年もかけて築いてきた事業を安定させるのか、それとも揺るがすのか、という問いです。
この2つ目のフィルターには十分な理由があります。顧客や取引先との関係、そして従業員の忠誠心を握っているのは日本の経営陣です。シニア層の採用で失敗すれば国内チームの離職を招きかねず、市場もそれを覚えています。その基準が職務記述書に書かれることはほとんどありません。出身大学、勤続年数、本社と日本の意見が割れたときにどちらの側に立つか、そして多くは口にされない、際立って優秀な人材が後継者になるのか脅威になるのかという懸念などです。
両方のフィルターを難なく通過できる人はわずかです。最も優れたバイリンガル候補者は、使い分けを身につけています。リージョンの面接官には職務範囲と成果を語り、日本のチームには勤続、組織へのなじみ、そして空気を読む規律を示すのです。
外資系企業にとってのポイント
- サーチ開始前に日本の経営陣と認識を合わせる。 彼らの基準を募集要件に書き込めば、それは採用の目標となる要件になります。そうしなければ、最終面接での見えない拒否権として働きます。
- 現地のフィルターを押し切らない。 それは多くの場合、実際に守るべきものを守っています。押し切れば、1年以内にカントリーヘッドを失うことになりがちです。
- 候補者の型破りな点は率直に伝える。 優秀な候補者に短い在籍歴やなじみのない出身大学がある場合は、誰も気づかないことを期待するのではなく、正面から推薦理由を説明してください。
- 終盤の兆候を読み取る。 高い評価と「採用は難しい」という指摘が同時に出る、選考途中で職務がひそかに組み替えられる、最終面接で初めて新たな懸念が出る、といった兆候は、通常、優柔不断ではなく2つ目のフィルターが働いている表れです。
- 異なる理由での合意を目指す。 日本での最良の採用は、双方がそれぞれの理由で支持し、その理由が明確に言葉にされている採用です。
出典
- 筆者のサーチ実務に基づく。法令用語・統計用語ではありません。