合同会社は、有限責任を負う社員によって所有され、原則としてすべての社員が業務も執行します。定款で一部の社員を業務執行社員とし、そのうち1人を代表社員と定めることもできます。外国の親会社のように社員自身が法人である場合は、その職務を行う個人(職務執行者)を選任しなければなりません。なお、法律上、合同会社の出資者は「社員」と呼ばれ、従業員を意味する「社員」とは異なります。
魅力はその簡素さです。株主総会、取締役会、監査役はなく、業務執行者の任期もなく、貸借対照表の公告義務もありません。利益は出資比率によらない割合で配分できます。設立は株式会社よりも安く早くでき、登録免許税は資本金の0.7%(最低6万円)で、株式会社の15万円を下回り、定款の公証人認証も不要です。合同会社は株式を上場できませんが、後から株式会社に組織変更することは可能です。
アマゾンジャパン合同会社、Apple Japan合同会社、グーグル合同会社など、大手外資系グループのいくつかは日本の主要事業を合同会社で運営しています。米国のグループにとっては税務上の利点があります。米国の事業体分類規則では株式会社は常に法人として扱われる一方、合同会社は選択可能な事業体であり、いわゆるチェック・ザ・ボックス規則により、米国税務上はパートナーシップまたは構成員と区別されない事業体(disregarded entity)として扱われることを選択できます。日本では引き続き法人として課税されます。国内での利用も急速に拡大しており、主に小規模事業や資産管理会社で使われています。東京商工リサーチによると、2025年の新設法人に占める合同会社の割合は28.6%でした。
外資系企業にとってのポイント
- 取締役は存在しない。 合同会社には取締役がいないため、取締役のポストや代表取締役の肩書を提示することはできません。経営者は法律上、代表社員またはその代表社員が選任した職務執行者であり、名刺には社長やカントリーマネージャーといった肩書が記載されることになります。
- 規模が小さいと受け取る候補者もいる。 合同会社をスタートアップや同族会社の器として認識している日本人のシニア候補者は、なぜ合同会社を選んだのかを尋ねることがあります。この形態を使っている大手多国籍企業を挙げて簡単に説明すれば、たいていは納得してもらえます。
- 労働法は変わらない。 解雇規制、社会保険、就業規則、36協定はすべてそのまま適用されます。
- トップを採用する前に会社形態を決める。 後からの組織変更は可能ですが、債権者保護手続や登記が必要であり、提示できる肩書も変わります。
出典
- 会社法第575条、第576条、第590条、第598条、第599条および第746条。
- 登録免許税法別表第一(資本金の0.7%、最低6万円)。
- 米国財務省規則301.7701-2(b)(8)(日本の株式会社を含む当然法人)および301.7701-3(分類の選択)。
- 国税庁法人番号公表サイト(gBizINFO):アマゾンジャパン合同会社、Apple Japan合同会社、グーグル合同会社。
- 東京商工リサーチ、2025年の合同会社設立状況(2026年)。