我慢とは、痛み、不快、苛立ち、理不尽といった困難に耐える力です。子どもの頃から教えられ、成熟の証とみなされています。2011年の東日本大震災と津波の後、避難者が乏しい物資を求めて静かに列をなした姿は、海外メディアで我慢の例として広く取り上げられました。多くの文化的美徳と同様に、我慢は確かに存在しますが、何でもそれで説明しようとする使われ方が過剰なのも事実です。
職場において我慢は、企業が評価する資質を支えています。厳しい最初の配属を粘り強く乗り切ること、困難なプロジェクトを最後までやり遂げる姿勢、要求の厳しい上司への耐性などです。「石の上にも三年」ということわざも、キャリアについて同じ考え方を表しています。
その代償は、沈黙が満足と同じではないという点にあります。我慢している従業員は、業務が過重であること、上司に不満があること、退職を考えていることを、多くの場合口にしません。圧力は見えないところで高まり、長時間のサービス残業、健康上の危機、メンタルヘルス不調による休職、あるいは前触れのない退職届という形で表面化します。日本の過労死問題や、従業員50人以上の事業場で年1回の実施が義務付けられているストレスチェックは、こうしたパターンへの対応という側面もあります。
外資系企業にとってのポイント
- 不満が出ないことを問題がないことと読み違えない。 業務量、労働時間、上司との関係について、できれば1対1で、可能な限り日本語で、具体的に尋ねてください。「大丈夫ですか」と聞けば、答えは「はい」です。
- 成果だけでなく労働時間を見る。 一切不満を言わず、日常的に夜遅くまでオンラインになっている高業績者は、本人の健康にとっても、人材の定着にとってもリスクです。出勤記録だけでなく労働時間のデータを確認してください。
- 退職は突然に見えるものと心得る。 日本人従業員が退職を申し出る時点では、通常、その決断は何か月も前に下されています。ステイ・インタビューや定期的なキャリア面談で、より早く気づくことができます。
- 採用で重視する場合は慎重に。 スタートアップや事業再建の局面では、忍耐強さは貴重です。ただし、長年にわたり劣悪な状況に耐えてきた候補者には、自社では問題を提起してよいのだと明確に伝える必要があるかもしれません。
出典
- 労働安全衛生法第66条の10(ストレスチェック)、2015年12月施行。
- 一般的な用法。