不利益変更 Disadvantageous change of terms

従業員の労働条件を引き下げること。本人の同意か、合理的な就業規則の変更によってのみ可能。別称:労働条件の不利益変更、就業規則の不利益変更。

他国では、福利厚生を削減したい使用者は、通知をして契約を変更できることが少なくありません。日本には3つの方法があり、そのいずれも狭き門です。

1つ目は個別の同意です。労働契約法第8条は、当事者の合意により労働条件を変更できると定めています。しかし裁判所は、使用者主導で取り付けた同意には慎重です。2016年の山梨県民信用組合事件で最高裁判所は、退職金の減額に同意する署名があるだけでは足りないと判断しました。問われるのは、不利益の程度、行われた説明、同意に至った経緯に照らして、労働者の自由な意思に基づいてなされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するかどうかです。

2つ目は就業規則の変更です。第9条は、使用者は労働者と合意することなく就業規則を変更して労働条件を不利益に変更することはできないと定め、第10条がその例外を定めています。変更後の就業規則が労働者に周知され、かつ変更が合理的である場合には、労働者を拘束します。合理性は、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の事情に照らして判断されます。これは1968年の秋北バス事件から1997年の第四銀行事件に至る判例を明文化したものです。賃金や退職金といった重要な労働条件の変更には、高度の必要性が求められます。2000年のみちのく銀行事件では、高年齢の従業員に大きな打撃を与えた賃金制度の変更が、労働組合の同意があったにもかかわらず、経過措置がなかったことから、それらの従業員への適用については合理性がないとされました。就業規則の変更によっては変更しないと使用者と労働者が個別に合意していた労働条件は、この方法で覆すことはできません。

3つ目は労働協約で、組合員を拘束します。これについては該当の項目で説明しています。

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出典

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