労働協約は、団体交渉の結果として労働組合と使用者が締結するものです。日本では通常、企業別労働組合と企業ごとに締結され、賃金、労働時間、賞与、配置転換、職場での組合活動、リストラに関する協議手続きなどを定めます。労働組合法上、書面で作成し、両当事者が署名または記名押印しなければ効力を生じません。有効期間を定める場合は3年を超えることができません。期間の定めのない協約は、いずれの当事者も90日前に書面で予告して解約できます。
協約のうち労働条件の基準を定める部分には、直接の法的効力があります。組合員の個別の労働契約のうちその基準に違反する部分は無効となり、協約の基準に置き換えられます。また協約は使用者の就業規則よりも上位にあり、適用される労働協約に反する就業規則は、協約の対象となる労働者には適用されません。
原則として、協約が拘束するのは組合員だけです。ただし重要な拡張があります。一つの事業場に常時使用される同種の労働者の4分の3以上が一つの協約の適用を受けるようになったときは、その事業場の残りの同種の労働者にも適用されます。また、ほとんど使われない規定ですが、厚生労働大臣または都道府県知事の決定による地域単位の拡張適用も認められています。
労働協約は、36協定のような労使協定とは別のものです。労働組合は両方を締結できますが、役割は異なります。
外資系企業にとってのポイント
- 引き継いだ協約は買い手を拘束する。 株式取得による買収では、対象会社の労働協約は、配置転換や解雇の前に組合との協議や同意を求める条項も含めて、効力を保ちます。
- 見つけるべきは同意条項。 解雇の前に組合の同意を求める条項を無視すると、整理解雇が無効となる可能性があります。
- 協約による労働条件の引き下げは可能だが、争いになる。 最高裁は、特定の組合員を狙い撃ちにするなど労働組合の目的を逸脱して締結された場合を除き、協約は組合員をより不利な条件に拘束し得ると判断しています。
- 安易に署名しない。 団体交渉の場で双方が署名した議事録や覚書は、それ自体が労働協約となり得ます。
出典
- 労働組合法第14条〜第18条。
- 労働基準法第92条、労働契約法第13条。
- 最高裁平成9年3月27日判決(朝日火災海上保険(石堂)事件)。