日本のフレックスタイム制は、遅い出社を大目に見るといった非公式な運用ではなく、法律上の正式な制度です。労働基準法第32条の3の下で、使用者は清算期間における総労働時間を定め、従業員は日々の始業・終業時刻を自ら決めます。会社は全員が勤務しなければならないコアタイムを設けることができますが、設けなくてもかまいません。
導入するには、使用者は就業規則にフレックスタイム制を定め、過半数労働組合または過半数代表者と労使協定を締結しなければなりません。労使協定では、対象となる労働者の範囲、清算期間、総労働時間、標準となる1日の労働時間を定めます。2019年の働き方改革以降、清算期間は最長3か月まで設定でき、繁忙月に長く、閑散月に短く働くことが可能になりました。清算期間が1か月を超える場合は労使協定を労働基準監督署に届け出る必要があり、週平均50時間を超えて働いた月については、その月に割増賃金の支払いが生じます。
フレックスタイム制でも時間外労働はなくなりません。清算期間の法定総労働時間を超えた時間は時間外労働であり、36協定が必要で、割増賃金が支払われます。なくなるのは1日単位での計算です。
外資系企業にとってのポイント
- 労働時間の把握は引き続き必要。 フレックスタイム制は適用除外ではありません。正確な勤怠記録が必要で、フレックスタイム制の下での未払残業代の請求はよく見られます。
- 柔軟な働き方を実現する、法的に最も安全な方法。 管理職以外の従業員について、フレックスタイム制は特定の業務に限られる裁量労働制よりもはるかに正しく導入しやすい制度です。
- 候補者は外資系企業に導入を期待している。 多くのバイリンガルの中途採用候補者は、コアタイムなしのフレックスタイム制と一定のリモートワークを、外資系企業の標準と考えています。
- 残業代不要と混同しない。 フレックスタイム制の従業員に「年俸制だから」追加の支払いはないと伝えるのは、よくある、そして高くつく誤りです。
出典
- 労働基準法第32条の3(働き方改革関連法による改正、2019年4月施行)
- 厚生労働省、フレックスタイム制に関する解説