最高裁:過重労働を認識しながら放置した上司は安全配慮義務に違反

2025年3月7日、最高裁は、最後の1か月の時間外労働が倍増して112時間を超えた警部補の自殺について、静岡県の責任を認めました。上司は業務量を把握でき、ストレスチェックの結果も知っていながら、何の対応もしていませんでした。補償の認定基準に達しないことは、責任を否定する理由にならないとしました。

状況
判決
判決日
2025年3月7日
対象
すべての使用者(従業員の業務を指揮する管理職を通じて)

判決の内容

下田で交番の責任者を務めていた31歳の警部補が、2012年3月に自ら命を絶ちました。最後の1か月、本来の職務に加えて新人の指導を引き受け、連続する侵入窃盗事件のため警らを続け、海外研修の準備もしていました。時間外労働は約43時間から112時間超に増えました。休日1日をはさんで14日間の連続勤務が2回あり、それぞれに24時間勤務が5回含まれていました。3か月前のストレスチェックでは最も低い評価を受け、そのことを課長に伝えていましたが、何の対応もとられませんでした。

高裁は、業務が公務災害の認定基準における「質的に過重」の基準を満たさないとして、両親の損害賠償請求を棄却しました。最高裁第二小法廷は全員一致でこれを破棄しました。使用者は、疲労や心理的負荷が過度に蓄積して従業員の健康を損なうことのないよう業務を管理しなければならず、業務を指揮する管理職は、この義務に沿って権限を行使しなければなりません。認定基準は判断の参考にはなるものの、判断を限定するものではありません。本件では、上司は勤務日誌や超過勤務の報告から業務量を把握でき、ストレスチェックの結果も知っていながら、負担を軽減する措置を何もとっていませんでした。事件は損害額の算定のため差し戻されました。

なぜ重要か

本判決は2000年の電通事件の考え方を適用し、それを公務員にも及ぼしました。責任の有無は、補償の基準を超えたかどうかではなく、管理職が何を把握できたかによって決まります。

企業が取るべき対応

出典

本ページは雇用主向けの一般的な情報であり、法的助言ではありません。基準値や日付は掲載の出典に基づき確認していますが、実際の対応にあたっては弁護士または社会保険労務士にご確認ください。 英語版