変更の内容
厚生年金保険料は標準報酬月額の18.3%で、労使折半ですが、算定の基礎となる報酬には上限があります。上限は現在月額65万円です。2025年の年金制度改正法(令和7年法律第74号、2025年6月20日公布)により、次の3段階で引き上げられます。
- 2027年9月: 68万円
- 2028年9月: 71万円
- 2029年9月: 75万円
上限以上の報酬を受ける方の月々の厚生年金保険料は、2029年9月までに118,950円(労使それぞれ59,475円)から137,250円(労使それぞれ68,625円)に上がります。年金給付は報酬比例のため、将来の給付額も増えます。1回あたり150万円の標準賞与額の上限は今回の改正の対象外で、健康保険の上限139万円も別の制度です。
標準報酬月額の定時決定が反映されるのは9月のため、新しい等級は、給与計算の運用に応じて9月分または10月分の給与から控除される保険料に初めて反映されます。
対象
すべての事業主が、諸手当、通勤手当、現物給与を含む月額報酬が約63万5,000円を超える従業員について対象となります。外資系企業の日本法人では、管理職の大半とすべてのシニア採用者が該当します。
企業が取るべき対応
- 増加分を予算化する。 2029年9月までに、上限に該当する従業員1人につき事業主負担は月9,150円、年間約11万円増えます。2027〜2029年度の人件費に織り込んでください。
- シニア層に伝える。 従業員側でも同額だけ手取りが減ります。2027年9月には問い合わせが来ると考えておきましょう。
- オファーの試算モデルを更新する。 シニア候補者の額面から手取りへの計算や採用コストの試算には、入社時点で適用される上限を使うべきです。
- 給与計算システムの設定を確認する。 2027年9月の定時決定から新しい等級が自動的に適用されるか、委託先に確認してください。
出典
- 厚生年金保険法第20条(令和7年法律第74号による改正後)
- 厚生労働省、2025年年金制度改正法の説明資料(標準報酬月額の上限の引上げ)