健康経営は、従業員の健康にかかる支出を福利厚生のコストではなく、生産性への投資として捉える考え方です。労働力の高齢化と健康保険料の上昇を背景に生まれ、経済産業省が2010年代半ばに政策上の重点課題に位置づけました。
主な顕彰の仕組みは2つあります。1つ目は2015年から東京証券取引所と共同で実施している「健康経営銘柄」で、上場企業の中から原則として1業種につき1社または数社を選定します。2つ目は、あらゆる種類の法人を対象とする認定制度で、経済産業省が制度を設計し、日本健康会議が毎年3月に認定します。2016年に創設され、2017年に初の認定が行われました。大規模法人部門と中小規模法人部門があり、2026年の認定では大規模法人部門で3,765法人が認定され、評価上位500法人には「ホワイト500」の冠が付与されました。中小規模法人部門では23,085法人が認定され、上位500法人が「ブライト500」とされています。
認定は毎年の調査票に基づいて行われ、経営トップのコミットメント、健康診断とその後のフォローアップ、労働時間、メンタルヘルス、健康増進策、効果の測定方法などが問われます。法的な効力はありませんが、認定企業は採用サイトやサステナビリティ報告書などで広くこれを掲げています。
外資系企業にとってのポイント
- 候補者は気にしている。 日本人候補者やその家族の中には、従業員を過重労働させない企業である証として、この認定の有無を確認する人がいます。外資系の日本法人も申請できます。
- 体系的な健康施策の枠組みになる。 申請しない場合でも、調査票は日本の人事チームにとって有用なチェックリストになります。
- 情報開示とつながっている。 上場企業グループでは、人的資本やサステナビリティに関する報告の中で認定に言及する例が増えています。
- 認定がないことは危険信号ではない。 経営が健全な外資系企業でも、一度も申請していない例は多くあります。意味を持つのは、認定を受けている日本企業と候補者を取り合う場面です。
出典
- 経済産業省「健康経営優良法人2026」の認定発表(2026年3月)
- 経済産業省・東京証券取引所「健康経営銘柄」